道草手帖

好きなものや日々の出来事をのんびりと綴っていきたいと思います

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歳月  

歳月

真実を見きわめるのに
二十五年という歳月は短かったでしょうか
九十歳のあなたを想定してみる
八十歳のわたしを想定してみる
どちらかがぼけてどちらかが疲れはて
あるいは二人ともそうなって
わけもわからず憎みあっている姿が
ちらっとよぎる
あるいはまた
ふんわりとした翁と媼となって
もう行きましょう と
互いに首を締めようとして
その力さえなく尻餅なんかついている姿
けれど
歳月だけではないでしょう
たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて生き抜いている人もいますもの



日曜日。
開館直後の図書館。
ある老夫婦の姿。
杖をつき左右に揺れ小刻みに歩く夫。
その後に妻が続く。
随筆の書架の前で本を選ぶ夫。
妻は目を細めて背表紙をじっと眺めては、
夫が指す本を次々と抱えてゆく。
「これで何冊になった?」との夫の問いに、妻は、
「12冊。お父さんと私で6冊ずつ借りましょう」と答える。
「6と6…なんて切りのいい数字だ」と夫は言い、少し笑う。

しばらくたってから外に出ると、
そこにはあの老夫婦の、
妻が夫の腕を支えながらゆっくりスロープを歩く姿。

たとえ体の機能が失われてゆくとしても、
私もあんな風に歳をとれるでしょうか。
そしてあんな老夫婦のようになれるでしょうか。

歳月…。

私は今、あの老夫婦の反対側の書架で手にしていた、
茨木のり子さんの『歳月』という詩集を読みながら、
自分にそんな問いかけをしています。

歳月歳月
(2007/02)
茨木 のり子

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category: 言葉

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コメント

nocoさんこんばんは。
ここ暫らくは寒い日々が続きますが、
お変わりありませんか?

nocoさんには「汲む」という詩を捧げましょう。
もしくはドリカムのTORIDGE&LISBAH
(結婚式に友人が歌ってくれました)

URL | mo #YuFssvok
2012/01/23 02:07 | edit

稲妻のようにビビビ!と感じた気持ちが一生続くときは片方が居なくなって思い出になったときでしょうか?
少なくとも現実を生きる夫婦は生々しく
色んないばらを乗り越えていかねばならないのだと
その立場になってから実感として受け止めています。

でも、お互い支えあわないと生きてゆけない体になったり、或いは心の棘が擦れあいながらまあるくなったときあの人生の先輩のような関係になれるのでしょうか?
短気な父は晩年「ありがとうありがとう」と連発して言ってました。心からそう思えたとき、父の人生修行が終わりなのだと思いました。長生きしたい人は、悟りを開かないで神様に反抗的でいいのかも知れない。
色々な形がありますね。

URL | mo #YuFssvok
2012/01/23 02:59 | edit

ううむ

永遠の課題。
歳月で変わっていったり、
解決したりすることもあるけれど、
それだけではない。
そうです、それだけではない。
歳月が解決できないこともある。
歳をとるということは難しい。
歳月は歳をとるということの、味のないメインディッシュ。
スパイス(糸口)は、自分自身にあると、
ワタシは思っています。

URL | 月青(みづきうさぎ) #-
2012/01/23 17:57 | edit

moさんへ

moさん、こんばんは。

詩と歌の贈りものをありがとうございます。
すごく偶然で驚いたのですが、
私も茨木のり子さんの「汲む」という詩の一節、
「震える弱いアンテナ…」のあたりが頭に浮かんでいました。

ずっと活字中毒気味で、本ばかり読んで過ごしています。
そのせいか、些細なことをくよくよ考えたりしてしまい、
自分でも収拾がつかない状態に…弱ります。

閑話休題。
ほんとうmoさんのおっしゃる通りですね。
出会った頃の気持ちは何処へ行ったの?というくらい、
日常での夫婦の関係は月日が経つにつれ変わってゆきますね。
空気のようと表現する人もありますが、
空気のようにあるのが当たり前すぎて、
その人の存在の価値がわからなくなるようなときもあったり。
また、結婚することにより絆が強くなる反面、
お互いに妻と夫という役割を相手に押し付けるあまりに
ときには、お互いに苦しめあうことになったり。
夫婦であるということは何だろうと悩んでしまいます。

お父さまのお話、ほろりとなりました。
そして、明るい光のようなものを感じました。
「ありがとう」といえるのはとても素敵なことだと思います。
歳を重ね、自分の人生が残りわずかと実感したときや、
ままならぬ自分の体や頭をもったときに、より一層、
相手の存在の大きさに感謝するようになるのかもしれません。
「長生きしたい人は、悟りを開かないで神様に反抗的でいいのかも知れない」
なるほど、確かにそうかもしれませんね。

URL | noco #-
2012/01/24 01:11 | edit

月青(みづきうさぎ)さんへ

月青(みづきうさぎ)さん、こんばんは。

まさに、永遠の課題ですね。

> 歳月は歳をとるということの、味のないメインディッシュ。
> スパイス(糸口)は、自分自身にある

なんて深い言葉でしょう。
人生における他者との関係性も置かれている環境も大切かもしれないけれど、
それに意味づけしたり、価値を見出すのは自分自身ですものね。

つまり、自分をどう磨いてゆけるかでその人の人生のあり方も変わってゆくのでしょうね。
ということは、今が大切ということにもつながりますね。
そうか、私は先のことにとらわれてしまいすぎで、
今の自分が将来の自分の礎を築くということを忘れていたのかもしれません。

またひとつ大切なことを教わった気がします。

URL | noco #-
2012/01/24 01:21 | edit

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