道草手帖

好きなものや日々の出来事をのんびりと綴っていきたいと思います

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湯本香樹実 『岸辺の旅』  

101015derFluss


行き着く先が決まっているなら、思い煩うことなど何もなかった。
暑さ寒さも照るか降るかも知らず、時がくれば眠り、時がくれば食べ、
食べるものがなければ食べず、寝る場所がなければ寝ず、
ただ次の土地また次の土地へと渡ってゆく。
そして景色は際だった。
あらゆるものが単純きわまりなく、あらゆるものが底知れなかった。
どんな情景も、どんな見知らぬ人のたたずまいも、
二度とないそのときかぎりのものとして「よく見ておけよ、憶えておけよ」
と胸の奥深くに迫るのだった。
迫るものをただ目の底に刻み、刻んだものと惜しげなく別れ、忘れ、
流れに流される木の葉のように旅は続く。



ある夜失踪していた夫が戻り、
妻に、
「俺の体は、とうに海の底で蟹に喰われてしまったんだよ」、

そして、
「したくするんだ」と言う。


二人の旅がはじまります。

失踪中の夫の3年間の生活を
二人でたどる不思議な旅。

わたしたちの人生は
川に流される木の葉のような
ものかもしれません。

あっちへゆき、こっちへゆき、
たまに何かに引っかかったり、
勢いよく流れたり、
でも決してそこにずっと留まる
ことなどできない。

少し切ないけれど、本を閉じ、
そうしみじみ感じました。

岸辺の旅岸辺の旅
(2010/02)
湯本 香樹実

商品詳細を見る


これまで湯本さんの
『夏の庭』『西日の町』を
読みましたが、2作とも、
そしてこの『岸辺の旅』も
“死”が描かれています。

でもそこで描かれる“死”は
悲しみや苦しみであるものの、
暗いもの、忌むべきものでは
ないところが安心できます。

自然…そう自然なのです。
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category: 読む

thread: のんびり本 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 6

コメント

昔は

昔は、今よりも死というものが身近にあって、
そして自然なことでしたよね。
家族構成が、子どもから高年齢者までというのも多かったので、
人の一生の流れをみるのは普通のことでした。
そういう機会が減ってしまった今は、
「死」は忌むべきこととして捉えられがちですが、
人は産まれてからずっと死に向かって生きているということを
理解しなくてはいけないと思います。

URL | みづきうさぎ #-
2010/10/16 21:10 | edit

2013年に世界が終わるというような一昔前のノストラダムスの大予言みたいなのをテレビでやっていました。
もしそれが本当なら、終わりのときがわかっているなら
こんなにうずくような不安な思いをしなくてもいいのだろうなと思いました。
心の思うままに、好きに勝手に生きて行けばいいのだと。
それができないのはどうしてでしょうか?

最近そんなことをよく考えます。

夢を見なければもっと楽なのかもしれません。
でも夢を捨ててしまったらそれはきっと私の人生ではなくなるのでしょう。
いい加減に、少しだけ無理もして、夢を追い続ける。
きっとそんな風に自分に折り合いをつけながら生きていくんだろうと思います。

URL | mo #NkZVZrtM
2010/10/17 00:07 | edit

みづきうさぎさんへ

こんにちは。

ほんとうにおっしゃる通りです。
今は「生」と「死」がまるでまったく別のもの、
切り離されたもののように扱われている
ような気がします。

「人間は、一つの死体をかついでいる
小さな魂にすぎない」

そう言った人もいるほど、
「生」と「死」はともに私たちの中にありますよね。
「死」があるから「生」の価値が見出せるというか、
いのちの重みもきっと「生」だけからでは感じられず、
「死」があるために実感できるように思います。

そう考えると、昔の大家族の生活というのは、
大切なことをたくさん教えてくれた場なのでしょうね。

コメントを拝読して色々なことを考えました。
素敵なコメントをありがとうございましたn(_ _)n

URL | noco #-
2010/10/17 11:19 | edit

moさんへ

こんにちは。

お心のこもったコメントをありがとうございます。

そうですね。
終わりのときがわかればどんなにいいだろう…
私もよくそんな風に思います。
でもそうもゆかず、様々なことで心揺さぶられ…
毎日が過ぎてゆくのですが。

夢。

夢をもつことは喜びである反面、
葛藤…摩擦…など苦しみやつらさも伴いますよね。
私はそれでも夢をもって前に進むことが大切だと
ずっと長い間考えていました。
でも、挫折や失敗を繰り返すうちに、
夢をもつこと自体がこわくなってゆきました。

物事のはじまりは、いつでも瓦礫のなかにあります。
やめたこと、やめざるをえなかったこと、やめなければならなかったこと、
わすれてしまったことの、そのあとに、それでもそこになおのこるもののなかに。


長田弘さんの詩のなかのことばです。
このことばに出逢ったとき、すっと楽になりました。
何かを手にしようと力を入れなくても、
きっと自分に必要なものは残ってゆくのだと思えます。
夢もきっとそうであってほしいな…と近頃はそう考えています。

URL | noco #-
2010/10/17 14:16 | edit

お返事ありがとうございます。。
ごめんなさい。
真夜中の考えは哲学的というか、ややこしく考えすぎてしまいますね。。

今年は大切な友人との突然の別れがあり、
いまだに、彼女の人生について考えたり、
自分に重ねて思ったりを繰り返しています。
なかなか立ち直れないでいます。

そうですね。いつかすべてのカケラが繋がることを夢見て
ひとつひとつ、毎日をちゃんと暮らしていきましょう。
そう改めて思いました。

ありがとうございました。

URL | mo #NkZVZrtM
2010/10/17 19:08 | edit

moさんへ

moさん、こちらこそごめんなさい。
私の何気なく書いた文章がmoさんのお心の傷に
触れてしまったのではないでしょうか。
そうであれば、本当に申し訳ありませんでした。

ついつい生きることに意味を問うてしまいます。
そして、夢や目標に向かって歩むことが大事だと
自分に言い聞かせて自らを駆り立ててしまいます。
どれもとっても大切だと思いますが、
そうやってずっと張り詰めていると、ある日突然、
糸が切れてしまうかもしれません。

私の身近な人もそんな最期でした。

大切なご友人を亡くされた傷は容易に癒えず、
お気持ちもすぐに整理できないことと思います。
けれどきっといい方向へ向かっていると思います。
自然に…自然に…導かれているはずです。
なので、moさん、どうか無理なさいませんように。

これからもお互いにゆっくりまいりましょうね。

コメントいただけてとても嬉しかったです。
いつも感謝しております♪

URL | noco #-
2010/10/18 00:03 | edit

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